「精神のけもの道」春日武彦/吉野朔実

精神のけもの道 (アスペクト文庫)

精神のけもの道 (アスペクト文庫)

以前読んだ「私はなぜ狂わずにいるのか」(春日武彦)は精神病院に入院している人々について書かれていたが、この本では入院一歩手前の人々が採り上げられている。
「幻の同居人」と暮らしている老女、贋医者・贋アナウンサーの若者、神経症(ノイローゼ)の人々、不確実感に執りつかれた男、傲慢なる依存癖(ありのままの自分を受け止めてもらおうとする人々)、自己嫌悪に囚われた人、理詰めで自分を追い込む人々。
読んでいて身につまされる話がある。他人事ではないのだ。私だっていつ何時、「精神のけもの道」に足を踏み入れてしまうかもしれない。

神経症は人間観察に興味を持つ者にとってなかなか魅力的である。なぜならヒトが思いつくあらゆる不幸や病気が、神経症において「実演」され得るからである。古今東西に出現した神経症の症状をすべて記録した書物があったとしたら、それはおそらく人間の想像力の限界(そして凡庸さ)を指し示してくれるといった意味できわめて興味深いことだろう。

これと似たような話を聞いたことがある。それは世界中のお化け・幽霊について、それぞれの国や民族の違いはあれど、その数はだいたい同じらしい。一定の数に達すると、もうそれ以上のお化けの種類は出てこないのだ。これもまた人間の想像力の限界を示しているのかもしれない。さらに言うと、人類が生み出してきた物語のパターンも数十種類が限界だという。
ちなみに、本書ではそれぞれの症例やエピソードを挙げて寸評しているだけで、特に改善策のようなものは書かれていない。まあ、神経症面白話カタログのようなものだ。

スケジュールの変更

スタバのポスター

今年は地元に腰を落ち着けて仕事をするつもりだったけど、予定が変わった。来週からまた東京通勤をすることになった。
五月末までの限定だけど、久しぶりの長距離通勤。5時半に起きられるか? 目が覚めたら昼過ぎなんてことにならないか? 心配だ。

映画3本

ひまわり HDニューマスター版 [DVD]

ひまわり HDニューマスター版 [DVD]

十代の頃に一度見たはずなのに何にも覚えていない。ただ、ソフィア・ローレンが妖怪人間ベラに似ているなと思ったことだけは記憶している。
今回、見直して良かった。ソフィア・ローレンの魅力も多少はわかるようになった。モーパッサンの短篇に、これと同じように戦争に翻弄され、引き裂かれた家族の話を読んだ記憶がある。自然主義文学の味わいが懐かしい。

The Pawnbroker [DVD] [Import] (1965) /質屋

The Pawnbroker [DVD] [Import] (1965) /質屋

これも力強い作品。映画の中にぐいぐい引き込まれる。ただ、前半は良いテンポなんだけど、中盤から後半にかけて間延びしているように感じる。ちょっと退屈した。それからサブリミナルの効果を狙ったフラッシュバックはやめてほしい。歳のせいか、目が回る。

僕達急行 A列車で行こう [DVD]

僕達急行 A列車で行こう [DVD]

期待してなかったけど、これはクリーンヒット。なんてことない、他愛ないコメディ。でも、今の自分の精神状態が低迷しているので、こういう気楽で楽しい映画に救われた。だれも傷つかない、だれも不幸にならない、そういう世界に浸りたかったのかもしれない。
メロドラマ的な感傷を排除して、すべてが軽くふわっと無重力になったような世界観は森田芳光の個性というか、独特の味わい。また、主演の松山ケンイチ瑛太の演技にも好感を持った。
鉄道でもなんでもいい、自分が心底好きな世界を持っているというのは幸福の第一条件なのかもしれない。見ているこっちまで幸せな気分になった。

五十肩、回復中

日本橋

昨年から痛み続けた五十肩が徐々に回復しつつある。特別なことは何もしていない。無理をせず、痛いときは動かさない。ときどき肩甲骨を意識して動かす程度。1年かかったけど、ようやく肩の可動範囲が広がってきた。
咳喘息は昨年末、肩の痛みがピークになった途端に止まった。どうしてなのかわからない。
飛蚊症、光視症は相変わらず。気にしだすと気になるが、普段は忘れている。
写真は日本橋辺り。

多忙につき

本業以外の仕事が忙しい。去年と同じ臨時雇用なんだけど、利根川上流の町まで毎日通勤。一年前も同じようなことをしていたことを思い出す。時間がループしているような気がしてくる。

映画を少々

ディア・ドクター [DVD]
女は女である ブルーレイ [Blu-ray]
映画のストックは着実に増えているんだけど、生活が不安定で映画を見る精神的余裕がなかった。最近になってようやく見通しがついたので、ちょっとずつ見ていくつもり。
昨年末から3カ月間で見た映画はたったの7本。

どの映画もあまり記憶に残ってないんだけど、「ディア・ドクター」で鶴瓶の医者役はいくらなんでもミスキャストだろうと思った。でも、見ていくうちに、ああ、そういうことか、とナットク。意外に面白かった。
「女は女である」も退屈せず、面白く見た。アンナ・カリーナが可愛い。また、シャルル・アズナヴールが歌う「のらくらもの」がカフェで流れるシーンがよかった。歌詞がとてもいい。下の動画に字幕がないのが残念。
「ほら男爵の冒険」、「ローマで起こった奇妙な出来事」は途中で寝てしまった。「森崎書店の日々」は神保町が舞台なので期待したけど、中身にがっかり。
男はつらいよ」は今さらコメントをするまでもない。私にとって精神安定剤のような映画。

アンナ・カリーナがあまりにも可愛いので、これも追加。

スターバックス神栖店

スタバ神栖

昨年末に開店してから3カ月になる。最初、ものすごく混んでいたので避けていたのだが、そろそろ落ち着いてきたかなと様子を見に出かけた。やっぱり混んでいた。勢いが衰えていない。
平日の昼過ぎに行ってみたのだが、神栖のような田舎町の店舗になんでこんなに人が集まっているかと不思議になる(おそらく、神栖市民ばかりではなく、周辺の市町村からもやって来るのだろう)。一昔前まで陸の孤島と呼ばれていた地域なので、スタバのような都会的なカフェがもの珍しいというのはよく分かるけどね。
(写真は、珍しく混雑が途切れたときに店内の一部を撮影。午後はちょうど日陰になるので店内が暗くなる。薄暗い店内に木目調のテーブルが配置されていて、大人っぽい雰囲気になる。個人的にこういう落ち着いた雰囲気は好きだ)