池波正太郎の真田本

獅子 (中公文庫)
真田騒動―恩田木工 (新潮文庫)
正月にNHKラジオで池波正太郎の「信濃大名記」と「錯乱」(橋爪功・朗読)を聞き、これが予想外に面白かった。さっそく新潮文庫「真田騒動」を買ってきて活字で読んだが、やっぱり面白い。
一般的に真田といえば幸村なんだけど、こちらは幸村の兄の信幸に焦点を当てている。そして、戦国時代の戦記物ではなく、政治劇である。しかも攻めるよりは守りである。堅守、鉄壁の守りを描いている。
何から何を守るのかといえば、巨大な権力(徳川幕府)から真田家、家臣、領民を守るのである。その信幸の知力、決断力、忍耐力、そして信念を貫く態度はみごとなものだ。思わず、領主の見本、政治家の理想像と言いたくなる。
ちなみに、中公文庫「獅子」を読みたくて新刊書店や中古本屋を探したけど、とうとう見つからなかった。仕方なく、amazonで購入した。昨日届いて一気に読了。内容は短編「錯乱」とほぼ同じで、ゆったりとした長編小説に書き直したもの。