長編に挑戦

ながい坂(上)
読書の秋だからというわけではないが、長編小説ばかり読んでいる。山本周五郎の「ながい坂」、ディック・フランシスの「混戦」と「密輸」。それぞれ面白く読んだ。
長編なので1週間くらいかけて読んだのだが、その間、物語の中の時間を登場人物たちと共に過ごし、短篇を読むときとは異なる読書体験をした。
今、ドストエフスキーの「悪霊」を読んでいる。これがなかなかしんどい。二十代の頃に主な代表作は一通り読んだのだが、この「悪霊」だけ読み残していた。その宿題を片付けるつもりで読み始めたのだが、登場人物たちの紹介、噂話、どうでもいいような長広舌が多く、読み進むのが苦しい。「罪と罰」のように金貸しの老婆を殺して刑事に追われるというサスペンス要素でもあればいいのだが、それもない。300ページ読み進んで、まだ事件らしい事件が起こらない。これはきつい。
悪霊(上) (新潮文庫)
マーク・トウェインの「古典とは、誰もが知っているが、誰も読まない文学のことである」とういう言葉に説得力を感じる。