色川武大「怪しい来客簿」

怪しい来客簿 (文春文庫)

怪しい来客簿 (文春文庫)

久しぶりに読み返してみたけどやっぱり面白い。二十代の頃、毎年読み返していたからもう十回以上読んでいるはずなんだけどいまだに飽きない。
ちょっと昔話になるけど、80年代の半ば頃、東中野新日本文学会館に色川武大の講演を聞きに行ったことある。当時、私は阿佐ヶ谷に住んでいたので、電車で10分くらいのところだ。後にも先にも作家の講演会に足を運んだのはあのとき一度だけだ。
講演ということだったけど、色川さんは一方的に話をするのは苦手ということで、質疑応答形式で話をすることになった。いくつかの質問を受けて、ぼそぼそと小声で喋っていたことを覚えている。内容はあまり覚えていない。なにしろ当時、私は色川武大(もうひとつのペンネーム・阿佐田哲也)の本を読み漁っていたので、だいたいことは知っており、何を聞いてもあまり驚かなかったからだ。
残念だったのは、講演会の後に駅近くの居酒屋で飲み会があり、その場に色川さんが来る予定だったのだが、都合がわるくなって来られなかったことだ。もし直接話すことができたら「怪しい来客簿」の内容がどれくらいの割合で事実に基づいているのか、こっそり訊いてみたかった(創作の楽屋裏を覗くのは野暮なことだと思うけど、やはり気になる)。