通勤中の読書

通勤時間を利用して何冊か本を読んだ。読み終えたらすぐブログにアップするつもりだったんだけど余裕がなかった。少し暇ができたので本の内容を思い出しながら短く書き留めておく。

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

さまざまなトラブルを抱えながら皆それぞれの人生を生きている。そのあり様をシニカルな視線で捉えつつ、話がリズミカルに展開していく。退屈せずに面白く読める。でも、読後に何も残らない。いや、ほろ苦い読後感は多少残るかな。

田村はまだか

田村はまだか

これも面白く読めた。軽くて都会的な小説なんだろうと思って読み出したら、意外にも誠実に人生を語っている。といっても、平成の小説家なのでダイレクトに人生論を展開するわけではない。この人は推理小説を書いていたことがあるのだろうか。小説を書く前に落とし所を決めておいて、そこに向かってジグソーパズルのピースを計算通りに埋めていくような書き方をしている。「第一話 田村はまだか」と「特別収録 おまえ井上鏡子だろう」が特によかった。

実弟の人となりを描いた表題作「庭の砂場」もいいけど、やはり「−に−を掛けると」が面白かった。いかに自分が駄目な人間であるかを、これでもかこれでもかと書き並べながら、そのじつ自分の半生を語り、亡き友の思い出を語っている。さすがに上手いものだ。その熱のこもった書きっぷりはやはり昭和の作家という感じがする。

風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)

風琴と魚の町/清貧の書 (新潮文庫 は 1-4)

行商人の子供として地方都市を旅しながら暮らす日々が侘しく悲しくが描かれている、なんて書くといかにも解説文のようだけど、林芙美子は本質的に明るいというか、向日的だ。悲しくても苦しくても元気はつらつだ。文章はちょっと気負っているように感じた。初期の作品せいだろうか。

The Dead Zone (Signet)

The Dead Zone (Signet)

初めてスティーブン・キングを読んだ。思わぬ事故により、ある青年の脳の中で特殊能力が目覚めてしまうというお話。正直なところ英語で読むのはきつかったけど、話の面白さに引き込まれて一気に読み切ることができた。

吉村昭の「三陸海岸津波」も読んだのだけれど、いざ何か書こうとするといろいろな思いが溢れてきて短くまとまりそうもない。いずれ改めて書くことにする。