辰巳ヨシヒロ「劇画漂流」 

劇画漂流 上巻
1950年代の大阪で、漫画出版の業界にこんな動きがあったなんて知らなかった。漫画といえば手塚治虫、そして石森章太郎藤子不二雄赤塚不二夫などの東京のトキワ荘組しか知らなかったので、関西の業界事情は興味深かった。
この本はいちおう辰巳ヨシヒロの自伝の体裁になってるけど、肝心なのはそこじゃない。漫画勃興期にひと儲けを企む出版社と、その隆盛の高波の中をなんとか生き延びようする若き漫画家たちの悪戦苦闘が読みどころだ。
上下二巻の分厚い漫画本だったけど、劇画漂流 下巻まったく退屈しなかった。続編が描かれることを期待したい。