高峰秀子のエッセイ集

おいしい人間 (文春文庫)
にんげん住所録 (文春文庫)

高峰秀子のエッセイ集・にんげんシリーズ「にんげんのおへそ」、「おいしい人間」、「にんげん住所録」を毎月一冊ずつ読んでいる。(いっぺんにすべて読み切ってしまうのがもったいないのだ。)じつは、もう一冊「にんげん蚤の市」というのがあるのだが、これはアマゾンで検索すると古本でしか購入することができないようだ。
高峰秀子のファンなので、にんげんのおへそどんな文章でもありがたがって読んでいるのだが、この三冊は高峰がこれまでに出会った人々を紹介しているので興味深かった。なにしろ、女優生活・五十年である。いいネタを持ってないはずがない。映画監督、男優、女優、歌手、芸人、裏方、作家、画家、その表の顔も裏の顔も見てきているのだ。修行僧のような生活をしている大河内伝次郎、ダダをこねる幼女のような有吉佐和子の素顔、木下恵介への私的な弔辞、小津安二郎と能、内田百輭へ宛てたファンレターとその返信、そして夕食後に布団部屋に閉じこもって脚本を書き続けていた若き日の黒澤明のことなど、達者な文章で紹介している。

今週はもう一冊。なぜか急にディック・フランシスが読みたくなって、買いだめしてある競馬シリーズの中から「試走」を選んで読んだ。いつものことながら50ページくらいまではなかなかストーリーに入っていけない。でも、いったんストーリーに入り込むと、あとは一気呵成に読み終えた。今さら言うまでもないことだが、このシリーズはどれを読んでもハズレがない。