「<かなしみ>と日本人」8

林檎屋看板娘


早いもので、もうゴールデン・ウィークも終わり。今回の企画もこれでタイムアウトだ。取り上げなければならない重要なことがもっとたくさんあったような気がする。 でも、仕方がない。宿題を残すかたちでいったん終了する。




  • 物語の知

天にきらめく無数の星は、ただ見ているだけでは何の意味も持たないが、古代人はいくつかの星をつないで、双子座やオリオン座や獅子座などを描いて、物語を創り、一つ一つの星に意味を持たせた。ユングは、それと同じように、人間が人生において出会う様々な出来事を、それぞれに意味あることとしてつなぎ合わせ、その人なりの物語を創るという方法で、精神的に葛藤を起こしている人の心のなかを整理して治療に役立てた。・・・死という苛酷な試練をどう受容するかという問題を考えるとき、私はまさにコンステレーションというものの見方が必要だと考える。
                         柳田邦男『「死の医学」への日記』

人間としての生命の間に起こった出来事をバラバラに見るのではなく、ひとまとまりの全体の物語のうちにおいて見ることよって、それぞれの出来事が意味を持ちうるのかどうか? そして、それによって死が受け入れやすくなるのかどうか? これも今後の課題としておきたい。