抒情文芸

抒情文芸 第122号

今から20年前、東京・杉並区阿佐ヶ谷に住んでいたことがある。当時、フリーターだったので、就職もせず一日中ぶらぶらしていることが多かった(あの頃は本当に暇な時間がたっぷりあった。永遠に続くように思えたものだ)。
そんなとき、隣の高円寺の書店で、派手な雑誌の間に挟まって小さな文芸誌を見つけた。手にとって中を覗くと、身辺雑記のような地味なことばかり書いてある。でも、無理に背伸びをせず、自分の身の丈に合った文章で綴られているのがとても好ましく思えた。
それ以来、毎号とは言わないが、気が向いたときに買い求めて、今に至っている。そして今回、2007年春季号(第122号)に拙作「熊太郎伝」を掲載していただくことになった。酒飲みで、弱いくせに喧嘩っ早い祖父のことを、できるだけ明るくコミカルに書いたつもりである。都内の大型書店にしか置いてないが、もし文芸雑誌の棚で見かけたらぜひ手にとって読んでいただきたい。
(ネットショッピングでも購入可。ただ、Amazonではまだ最新122号がリストアップされていない)