「悪名」今東光

悪名 (新潮文庫 こ 5-3)

悪名 (新潮文庫 こ 5-3)

気分が低調なときは、痛快娯楽小説でも読んで気分を軽くしたい。それで本棚から「悪名」を引っ張り出して週末の夜に読みふける。河内の朝吉親分の活躍に時間を忘れる。気鬱な日常にいくらか爽やかな風が入ってきたような気がする。
娯楽小説の性質上、当たり前のことだけど、これは等身大の人間ではない。基本的にはスーパーマンの大活躍、大人のファンタジーである。しばらくの間、浮世の煩雑さを忘れて、心地よい夢を見るための物語。