古い日本映画
この夏は古い日本映画ばかり観た。何を観たのか忘れてしまいそうなので、タイトルと監督と俳優だけメモしておく。
- 「風船」 川島雄三監督 森雅之 三橋達也 芦川いづみ 北原三枝
- 「雁の寺」川島雄三監督 若尾文子
- 「しとやかな獣」川島雄三監督 若尾文子 伊藤雄之助 山岡久乃
- 「愛のお荷物」川島雄三監督 山村聡 三橋達也 北原三枝
- 「女は二度生まれる」川島雄三監督 若尾文子
- 「刺青」 増村保造監督 若尾文子
- 「青空娘」 増村保造監督 若尾文子
- 「清作の妻」増村保造監督 若尾文子 田村高廣
- 「妻は告白する」増村保造監督 若尾文子 川口浩
- 「卍」 増村保造監督 若尾文子
- 「赤線地帯」溝口健二監督 若尾文子
- 「鍵」 市川崑監督 京マチ子 中村鴈治郎 仲代達矢
- 「こころ」市川崑監督 森雅之、新珠三千代、三橋達也
どんなストーリーだったか、うろ覚えだけど、思いついたことを箇条書きする。
「青空娘」は、女子高生姿の若尾文子が海に向かって「おかあーさーん」と叫んだりする。そんな恥ずかしいシーンを我慢しながら観た。逆境にめげない芯の強い娘を若尾が小気味よく演じている。同じ増村監督の映画「刺青」では男を食い殺す女郎蜘蛛のような女を演じているのだが、こちらは妖艶というか、小悪魔そのものである。若尾文子の魅力がいかんなく発揮されている。
市川崑監督の「鍵」はちょっと異色作。仲代達矢のキャラクターは何だろう。わざと型を外して異質な感じを出してみたのか。実験なのか。原作の谷崎潤一郎の悪魔主義をどう表現するか、当時の監督や俳優たちはいろいろ工夫し、チャレンジしたのだろう。
「妻は告白する」で川口浩が演じる男は主体性がないというか、なんでも女の言うとおり動く若者で、こいつは頭がゆるいのかと思っていたら、終盤になって急に自我と正義感に目覚める。なんだ、こいつは?
それにしても若尾文子という女優は娼婦や妾・愛人の役ばかりやってきたんだな。たまに正妻の役を演じたかと思うと、夫を殺そうとするし、いっそ阿部定の役でもやったら面白かったのに。
男優では森雅之がいい。「風船」では枯れた初老の男を演じてカッコいい。また、三橋達也が器用にいろいろな役をこなしている。この人がこんなに活躍していたなんて知らなかった。「こころ」で先生の友人・梶役を演じているのだが、これもなかなかよかった。
新珠三千代は清潔感があっていい。小悪魔的な若尾文子を見た後だから、よけいにその清潔感が心に沁みるのかもしれない。この人は汚れ役をやっても、なぜか清楚な印象が残る。
古い日本映画はこのあたりで休みにしようと思う。そろそろ外国映画も観たくなった。じつは一昨日「善き人のためのソナタ」を観たのだ。これがグッときた。やっぱりヨーロッパ映画もいいよな。