本の容姿

最近、仕事が忙しくて疲れているせいか、手に取る本が柔らかい本ばかりだ。いま、目の前にある本も奥本大三郎の「考える蜚蠊」。本の内容は虫の話が中心で、身辺雑記のエッセイ集である。
この本は、姿かたちが気に入っている。(ちなみに、単行本のことです。上の写真は文庫本。アマゾンの写真紹介には文庫本の写真しかリストアップされていない。仕方なく文庫本を掲載している)。はじめて図書館で手にしたとき、すんなり掌になじんだ。えらく人懐っこい本だ。思わず、ぱらぱらとページをめくってみると、紙質がふっくらとしてやわらかい。表紙やページを指先で撫でてみると和紙の手触り(最近の本はどれもこれもプラスチックみたいにツルツルしている)。表紙の薄紫の色合いもオシャレで、机の上に置いて眺めてもわるくない。
さて、いくら気に入っても図書館の本である。読んだから返さなければならない。残念なことだ。といって、ネコババするわけにもいかない。ただ、すでに読み終えた本をあらためて新刊書店で購入するのも・・・どうかと思う。
あれこれ迷っていたら、先月、神田神保町すずらん通りの古書店で、この本をみつけた。格安本の棚の端で斜めになっていた。いやー、人智を超えた力を感じましたね、じつに。迷わず手に取ってレジに向かったが、もちろん読むためではない。身近に置いて眺め、愛玩するためである。