『チェーザレ 破壊の創造者』

チェーザレ 破壊の創造者(3) (KCデラックス)
先週、マンガ喫茶惣領冬実チェーザレ 破壊の創造者』 (1巻〜4巻)を読んだ。なかなか面白かった。最近、なぜか 歴史物にばかり興味が偏っている。歳のせいかな?
チェーザレ・ボルジアなんて、名前は知っているけど、じゃあ、いったいどういう人なんだ? と言われると困ってしまう。それで歴史のお勉強ということで読んでみたのだが、退屈しないで読むことができた。
語り手をチェーザレ本人ではなく、主人公から距離を置いた平民の若者に設定しているのが興味深い。怜悧で酷薄な政治的怪物を描くのに本人の目線で描くことは危険だと判断したのだろうか。おそらくこの語り手の若者は、常識・良識・一般市民を代表しているのだろう。その常識の視点を固定しておいて、一般的な常識で測りがたい歴史的人物の全体像を描き出そうというのだ。今のところ、チェーザレと語り手の関係は良好である。しかし、いずれ破綻するだろう。チェーザレが権力を手にし、その権力が強大になればなるほど、二人の価値観の相違が二人の間を引き裂くことになるはずだ。そのときに一方的にチェーザレを悪として描くことはやめてほしいものだ。そしてまた、市民の側を善・ヒューマニズムとか、あるいは単なる弱者/衆愚として描くこともやめてほしい(ここをクリアできるかどうか。青少年を読者対象とするマンガ雑誌であるから、おそらく微妙で難しい部分だと思うけど・・・)。

ヒストリエ(4) (アフタヌーンKC) [ 岩明 均 ]
話は変わるが、岩明 均の魅力は、生ぬるいヒューマニズムを一刀両断にする快感だった。それにしても「ヒストリエ」はペースが遅いな。一年に一冊しか進まない。遅すぎる。もう待ちくたびれた。