潮来あやめまつり

潮来あやめまつり


潮来出島の まこもの中に
あやめ咲くとは しほらしや
        水戸 光圀

今週は潮来市のあやめまつりに行ってきた。すぐ隣なので、車で10分もかからない。平日の午後だったが見物客も多く、それなりに賑わっていた。ほとんどが観光バスでやって来た人たちだ。
それにしても中高年が多い。いや、ほとんど年寄りばかりだ。カメラを片手にうろついていると、なにか場違いな感じする。私もしっかり中年なのだが、それでもまだ若輩者という感じだ。
あやめ園に沿って流れる川を屋形船が上下している。すでに酒が入っているらしく、カラオケを歌っている人たちがいる。それも「星影のワルツ」だ。みんなで大合唱していた。
子供の頃、祖父母に連れられて「あやめまつり」に来たことがある。そのときちょうど千昌夫の「星影のワルツ」が大ヒットしていて、商店街を歩いているとあちこちからこの歌が聞こえてきたのを覚えている。あれから38年が過ぎているのに、いまだに同じ曲が流れている。何かあるのか? あやめまつりと星影のワルツ。
あやめ園から離れて路地を歩いてみると、なんともうら寂しい。人影もないし、店が開いていても人の出入りがない。潮来駅の周辺でさえ閑散としている。駅前ロータリーではタクシーが暇そうに客待ちをしていた。賑わっているのはあやめ園だけだ。狭い街路を車が往来して、花柄の提灯が揺れていた。ふいに、つげ義春の漫画を思い出してしまった。「リアリズムの宿」、「長八の宿」、「もっきり屋の少女」が読みたくなった。