史記

史記 (4) (小学館文庫)

史記 (4) (小学館文庫)

今週末は横山光輝の「史記」を読んで過ごした。史記岩波文庫の「史記列伝」を読んで好きになった。漫画で読むと、アウトラインしか描かれてないので物足りないが、漫画は通読するのが楽なんだよな。秦を打倒して、項羽と劉邦が争い、漢が天下を取るまでの約千ページを一気に読んでしまった。
横山の漫画はあまり好きではないが、紙芝居だと思って気軽に読み捨てることができる。どこかで橋本治が映画「宮本武蔵」を評して、「こういう長い映画をだらだら観るのが日本映画の楽しみ方なんだ」みたいなことを書いていたが、この漫画「史記」についても同じことが言える。こういう紙芝居を寝転んで、一日中だらだら読みふける。だらしなくて、素敵な休日の過ごし方だと思う。
ついでに言うと、テレビドラマもそうだな。きっちり作りこまれたドラマもいいけど、ゆるーい作りのドラマをだらだら見るのって、けっこう好きだ。途中でトイレに行って、数場面を見逃しても、どうってことない。雨ばかり降って精神的に低調なときは、質の高い芸術作品よりも肩の凝らない通俗ドラマのほうがつき合いやすい。
それにしても「史記」の世界は人間ドラマの宝庫だ。計略、謀略、友情、裏切り、嫉妬、怨恨、復讐、疑心、忍従・・・シェークスピアを軽く越えている。(シェークスピアをろくに読んでもいないのに、とりあえずそう言ってみたくなる)