鎮守様

三島神社

この写真は近所の三島神社。といっても、だれも「三島神社」なんて呼んだりしない。「鎮守様」と呼んでいる。子供の頃はここがメインの遊び場だった。でも、中に入るのは勇気がいる。暗くて、うす気味わるい。壁に髪の毛の束がぶら下がっているし、赤や紫の和服が汚れたまま吊るしてあったりする。
夕暮れ、この堂の前を一人で通るのは怖かった。私の家はこの堂の横を通り抜けて裏側に回らなければならない。「ここはどこの細道じゃ」と老婆に声をかけられそうな場所なのだ。しーんと静まり返っているときも怖かったが、いきなり樹上で梟が鳴き出すのも怖かった。ほとんど横溝正史の世界なのだ。
ちなみに、この近辺は農家の集落で、部落と呼称されことがある。部落といっても、いわゆる「部落問題」とは関係ない。私は無知なので、大学生になるまで「部落問題」を知らなかった。だから、初めて「部落問題がね、・・・」と言われたときに、「え?」と思った。私の部落が問題なのか?と。しかも、差別されているのか、と。しばらく出身を伏せたほうがいいのかもしれないと案じた。
地元の小学校の運動会では「部落対抗リレー」というのがある。真面目な部落問題の研究者が聞いたら、ひっくり返りそうな競技名である。