2014年の夏は靴を履き潰す

夏の田野

在宅の請負仕事を放ったらかしてアルバイトをしている。ある調査の仕事なのだが、野外に出なければならない。原則的には車で移動するのだが、ときには野外を歩き回ることもある。この猛暑の中をである。
炎天下の日差しが強くて、皮膚が痛い。何十年ぶりに日焼けしている。健康的だなどと喜んでいいのか? 私が子供の頃の暑さとは質が違うような気がするのだが、気のせいだろうか?
炎天の路上に濃い影を落としながら歩いていると、松本清張推理小説に出てくる刑事が犯人の素性を調査するために田舎町を歩きまわるシーンを思い出す。また、埃っぽい砂利道からあぜ道へと曲がると、見渡す限りの水田が広がっている。一面の緑である。背後の丘も、森林で濃緑に染まっている。目を細めて見とれていると、降りそそぐ陽光が水滴のように光って見える。いまにも井上陽水の歌、「少年時代」が流れてきそうだ。