夏の終わりのゴキブリは・・・

ヨーヨー

夏の終わりのゴキブリは不可解なふるまいをする。夜、台所の廊下に一匹のゴキブリがいたので、片足をどんと前に踏み出して追い払おうとしたら、何を思ったか、奴は猛然とこっちへ向かってきた。うわっとのけ反ると、あっという間に土踏まずの下に潜り込んできた。裸足だったので、今でも足裏にゴキブリの感触が残っている。
また、別の夜。寝転んでテレビを眺めていたら、ドアの隙間からゴキブリが入ってきた。どうするのかと見ていたら、どうやら壁伝いにテレビの後ろに隠れる素振りをみせている。やれやれと安心していると、急に向きを変え、こっちに向かってきた。ここに人間がいるぞと威嚇してもダメだ。カサカサと乾いた音を立てながら走り寄ってきた。
一番物騒な奴は飛び回るゴキブリだ。一方の壁からもう一方の壁へ、ムササビのように飛翔する奴がいる。昔、東京にいた頃、明るい電燈の下でテレビを見ていたら、壁から飛び立ったゴキブリが頭の上に止まったことがある。あれも夏の終わりの出来事だったような気がする。
ついさっきも台所の流しでゴキブリが仰向けになって暴れていた。ひっくり返ったまま、起き上がろとして起き上がれなのだ。馬鹿な奴め。
(写真は、「フォトライブラリー」の無料素材)