「ホームズの冒険」

僕たちの好きなシャーロック・ホームズ (宝島SUGOI文庫)
講談社ルビーブックスのルビ訳付き「ホームズの冒険」を読んでいる。単語の下に訳語が付いているのですいすい読み進めると思ったら、これが意外に手こずっている。その理由は英文の細かい表現を吟味しながら読んでいるせいだ。当然、時間がかかる。
ただ、面白い発見もあった。英文の一字一句を気にしながら読んでいると、いままで気にも留めなかった物語の細部が見えてきた。日本語訳で読んでいるときはストーリー展開ばかり気にして、さっと読み飛ばしていた箇所が視野に入ってきたのだ。
日本語訳では平板なストーリーに思えた短編でも、英文を精読してみると意外にゴシック小説やホラー小説の要素を盛り込んだ怪奇趣味の物語だということがわかった。たまには原文をじっくり精読するのもわるくない。小説の細部を味わい、文章の手触りを楽しむことができる。
以前、「やさしく、たくさん」という英語学習法を効果的だと宣伝しておきながら、今回はまるで反対のことを言っている。まことに節操がない。でも、英語習得へのアプローチは一直線の一本道ではない。いろいろなルートを試し、愉しみながら学び、自分に合った方法を探し出せばいい。