小池光

佐野朋子のばかころしたろと思いつつ教室へ行きしが佐野朋子をらず

図書館で荒川洋治の「文芸時評という感想」をぱらぱら流し読みしていたら、小池光の短歌が目にとまった。短歌を読んで笑ったのは初めてだ。
ふだん短歌なんて読んだこともないけれど、それでも小池光という名前はときどき目にする。たしか、久世光彦の本の中でも紹介されていた。

どこまでもじゃんけんぽんのあいこして顔のなくなる夕顔小路
死蛍のぽつりと落ちて秋立ちぬ草の子供のそしてそれから
この町の淋しい秘密ひとりずつ郵便ポストの中に人棲む

それにしても冒頭の歌はいいな。何度も口ずさんで、ひとりでクスクス笑っている。もう一生、忘れないと思う。