Flann O’Brien “The Third Policeman”

The Third Policeman (1960s A S.)

The Third Policeman (1960s A S.)

フラン・オブライエンの「第三の警官」を読んだ。邦訳を1度読んでいるので、今回は2回目。でも、知らない単語ばかりで、辞書を引くのも面倒だし、大雑把な読み方になってしまった。
さて、この小説をどう評したものか? 黒い笑いのファンタジー、あるいは、死の世界を描いたルイス・キャロル。日本の風土からは、なかなかこういう作品は生まれないだろうな。異質なイメージ、グロテスクなキャラクター、よくもまあ、こんなヘンテコリンな発想が次から次へと湧いて出てくるものだ。
たとえば、半ば人間化した自転車、拡大鏡を使っても視野にうつらなくなった超微小製作物、音響を圧縮して熱と光を搾り出す装置・・・。また、この物語の中で常に異様な存在感を示しつづける3人の警察官たちも無気味だ。
現在、邦訳で読めるオブライエンの小説は長編4つと短編1つ。

  • 筑摩世界文学大系68巻「スウィム・トゥ・バーズにて」と「第三の警官」
  • 集英社・世界文学16巻「ドーキー古文書」(廃刊か? 数年前、古本屋でよく見かけたが)
  • 国書刊行会「ハードライフ」
  • 白水社「笑いの遊歩道」の中に「ジョン・ダフィーの弟」(短編)収録

この中で、どれか1冊と言われたら、私は「第三の警官」を推す。