第10作「男はつらいよ − 寅次郎夢枕」

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さくら。 旅行けば、信濃路はもう秋よ・・・。
毎度おなじみ、寅さんの名調子である。
その後、「村はずれの優しいお地蔵さんの顔に赤い夕日が差してカラスがカァーと鳴いてかぁ・・・」と続く。
渥美清の台詞回しは、いつ聴いても心地いい。寅のアリアと呼ばれる「とらや」の茶の間での独演もいいけど、おいちゃんと喧嘩して「とらや」を出るときの捨て台詞も見逃せない。
その中でいちばんのお気に入りといえば、第7作「男はつらいよ − 奮闘篇」。
・・・夏になったら
鳴きながら、必ず帰ってくるあの燕(つばくろ)さえも、
何かを境にぱったり姿を見せなくなることもあるんだぜ・・・。

このときの渥美清の声の抑揚、高音低音の使い分け、声のかすれ具合、泣きの調子、すべて完璧。思わず、スクリーンに向かって掛け声をかけたくなる。ついでにお捻りのひとつも投げてやりたい。この場合、苗字の「車屋!」と呼ぶべきだろうか。いや、それだとタクシーを拾っているみたいだな。やはり、「寅屋!」の方がいいだろう。