「みすゞ」

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金子みすゞのことは童謡詩人ということしか知らなかった。監督が、「地雷を踏んだらサヨウナラ」の五十嵐匠だったので借りてきた。
正直、途中で退屈した。何の波乱もなく淡々と映像が流れていく。たしかに美しい映像なんだけど、それだけでは退屈してしまう。
後半、みすゞが結婚するあたりから、ようやくテンションが高まってくる。夭折した詩人の生涯というだけで、十分にドラマチックなんだけれど、この監督は決して声高に叫ぶような作り方をしない。抑制して淡々と物語り、哀悼の映像を締めくくる。
退屈していたはずなのに、見終わったあと、みすゞを演じた田中美里の面影がいつまでも心に残った。

最初に観た「兵隊やくざ」は、見ている間ずっと楽しくて、見終わるとすっかり忘れて心が軽くなった。それに対して「みすゞ」は見ている間、退屈してたのに、見終わるといつまでも映像が脳裏に残る。切なく、心地よい悲哀が心を満たしている。対照的な二作品だが、どちらが良いということではない。それぞれに愉しみ方があるということだ。